初めてこの本を読んでおどろいたことは二つあります。一つは、エスキモーたちは、決まった時間に食事をせず、おなかがすけば人の家でもどこでも、肉を食べることです。日本では、考えられないことなので、とてもおどろきました。もう一つは、植村さんの、世界の山々に挑戦する勇気です。どんなに高い山でも、どんなに寒い山でも、こうと思ったら、必ず登ってみせる勇気におどろきました。しかも、エベレストをのぞけば、それはみんな、一人で登りきったのです。しかし、植村さんは、なぜ、一人で登山をしたがるのか、とても不思議になりました。普通、山登りをする時は、何人かのパーティーを組んで、登るはずです。なのに、どうして、植村さんは、単独登山にこだわるのでしょうか。もしかしたら、植村さんは、複数よりも、一人の方が、集中力が付き、山を登る力が発揮できるのではないのでしょうか。ぼくは、そう思います。
植村さんは、五大陸の山を全てせいはしても、満足せず、今度は、南極へ行く事を決意しました。ぼくは、そんな彼を見て、ぼくはこう思いました。「もしかしたら、植村さんの山登りに終わりはないのだろうか。地球に山が有る限り、彼は、山を登り続けるのではないか。それはまるで、止まることを知らない、ずっと走り続けるマラソンランナーのように」と。そして、山を登り続ける植村さんを、やさしくサポートする人がたくさんいて、植村さんは幸せだと思いました。アメリカへ行くことを許してくれた父、藤治郎さん、母、梅さん。グリーンランドで、実の息子のようにかわいがり、たくさんの事を教えてくれた、養父母の、イヌートソアさん、ナトワさん。黄だんという病気にかかった時、入院費を出してくれた、恩人のバルネ氏。エベレストに、いっしょに登った、仲間の松浦輝夫隊員。登山好きの彼をやさしく見守るおくさんの公子さん。その他、たくさんの人のおかげで、「植村直巳」という冒険家がいるのではないかと思いました。ピンチの時でも、強い精神力と肉体で乗りきる。常に冒険を考え、こうと思ったら、必ずそれをやりとげるたくましい心。そんな大冒険家、植村直巳さんにぼくは感動し、あこがれました。そして、将来、植村さんのような精神力をつけたいと思いました。