詩:Poem

平成5年

おでん

こないだ、
ゆきが、
ふった。
さむかった。
ごはんは、おでんに、
しました。
だいこんや、ちくわ、
こんにゃくに、たまご。
ぐつぐつぐつぐつ、
にた。
おいしかった。

カレーライス

このあいだ、
大かぜが、
ふいた。
ごはんは、
カレーにした。
にんじんと、玉ねぎ、
じゃがいも、ぶたにく。
ゴトゴトにた。
なべ、
いっぱいに、つくった。
からかった。

お茶づけ

きのう、おでんを食べた。
ご飯があまった。
そこで、お茶づけを作ることにした。
まず、お茶づけのもとをかけた。
パラパラと音がした。
つぎに、お湯をかけた。
ジュージューいい音がした。
おいしそうなさけ茶づけができた。
うまかった。

平成8年

かえるの目で見れば

春だ
かえるは土の中から
出て来るぞ
ふんばって
出て来るぞ
五月晴れの空を
今日もわれらは飛び回る
あと一月もすりゃ
田植えも梅雨もある
ああ楽しみだ

将棋と麻雀

将棋を指すといつも負ける。
「歩」を「飛車」で取られ、
「角」を「飛車」で取られ、
「桂馬」を「飛車」で取られ、
「香車」を「飛車」で取られる。
将棋は先をよむからつかれる。
麻雀は運と「カン」だから
楽しいのにな。

平成10年

季節の皮膚

うららかな春のこと
「うわ何だ」「花の香りが臭い」
「おいバーゲン品ばっか着るな」
まぶしい夏のこと
「汗臭い早くふいてくれ」
「恥ずかしいさらさないで」
淡い秋のこと
「おい虫がうるさい」
「気取ってないで上着を着ろ」
凍える冬のこと
「寒い雪合戦なんかするな」
「冷たい水で手を洗うな」
季節の皮膚は文句ばかり

平成11年

僕はお前に勝つことがどうしても出来ない
僕はお前を支配することが出来ない
お前を手に溜めても
お前は手から巧みにすり抜ける
お前をナイフで切っても切っても切っても切っても
お前は不気味な円い微笑を幾つも浮かべるだけ
お前を飲み込んでも
それは勝ち越したにすぎない
いつも必ず逆転ホームランを打たれる

僕が三日もお前を飲まないと
こっちが死んでしまう
お前を焼死させても
姿を変えそして増殖し僕を襲う
お前を凍死させても
カチカチに固くなり僕を滑らす

僕の中には沢山のお前がいて
僕を生かしていてくれる
殺すことがいや勝ちを望むこと自体が無駄なのか
でもいつか いや無理だ

僕はお前に勝つことがどうしてもできない
僕はお前を支配することが出来ない

インフルエンザ

もしもこの世に神出鬼没の怪人がいるとしたら
それは君であろう
毎年毎年挑戦状を叩きつけては何百人も殺害していく
ああ 君こそ完全なる犯罪者よ
警察は毎年来ている君を逮捕出来ない
君は毎年変装してやって来ては罪なき人を死に至らせる
ああ 君こそ非情なる殺人鬼よ
人々は怯え凶悪犯の魔の手から逃れようと部屋に閉じこもる
被害者(ガイシャ)が多くなれば学校は休みになる
警察は「WANTED」のビラを貼り
厳戒体制が敷かれる
それでも君を逮捕出来ない
この指名手配犯に
人々は涙を流し鼻をかみ熱を出しては咳をした
人々が君を逮捕出来たら
絶対に死刑にするだろう
でもそれはありえない
もうそろそろ君が今年犯した事件の時効がくる
僕は君を恨む

コンピュータ

お前は何者だ 天才かそれとも狂気か

数千キロの距離を一気に駆け抜け
百人の会話を一堂に聞ける
ネズミの左尻を押されると
忍者のように顔を変える
虹色ドーナッツを食べると
お前は物知りとなる
真っ黒ビスケットを食べると
その味を顔に出せる
何でも出来て 何でも出来なければ仕方ない
完璧主義者である

だがお前は二つの数字しか分からず
曖昧というものを知らない
言われなきゃ何も出来ない
だらしない奴
ドーナッツを食べなければ
お前はただの箱
おまけに ちょっと目を離すと
すぐに顔を隠してしまうシャイなお前

お前は何者だ 頑固者か軽薄者か
覚えろと言われたものはありのままに覚えて
絶対に忘れない
信じる者は数字と文字の合言葉のみ

だからお前は合言葉を知っていれば
誰であろうと平気でホイホイついていく
バカ正直な奴

天才的な頭脳を持ちながら狂気のお前を
人間は信じ過ぎた
お前も調子に乗って人間に操られていた
それ故お前は年さえも分からなくなって
ニチには知恵熱を出してしまう
そうなると人間は何も出来なくなってしまう
それぐらい劣ってしまった
ニチの知恵熱は
主人に絶対服従のお前の
せめてもの抵抗か

どん底

ここはどん底 一つの鉄玉が転がり落ちた
鉄玉は殴られてどん底に落された
水の流れが高みから流れるように
ゴロゴロゴロ転がり落ちる
悲しくもこの鉄玉は何に燃えるだけもなく
他の鉄玉が熱く燃えているのに
一つだけくすぶっている
フラフラフラ転がり落ちる
この鉄玉はとてもこっけい
ここはどん底 一つの鉄玉がくすぶっている
今まで転がって来た坂道はとても急で
上れない
ここはどん底

冬の到来

暗い部屋に
埃が舞い散る
雪のように
冬は北風と埃に乗って
やって来るのです

平成12年

騙して奪って人をけなし生きていく
自分の世界に閉じこもる人々よ

またどこかで産声が上がる
それは純粋な光が汚れていく事
厳しすぎる大人の社会を
上手くわたるには自分をいい子振る

人と人が憎しみ合って罪というものが生まれる
罪を償う罰というのも人が築いた犯罪

騙して奪って人をけなし生きていく
自分の世界に閉じこもる人々よ

人前では仲良く見せて
陰で苛めては卑劣な行為をしている
勇気がなく強気に従い
いつも流されて自分に負けている

業績だけ良ければいいと機械仕掛けに動いて
くだらないから止めてしまえよ洗脳されてしまうよ

富とか名誉を掴むために欲を出し
事実を隠して嘘をつく人々よ

苛立ちばかりで人の愚痴を言えば
きりがない
自分しか信じず孤独なる人々よ

一度でいいからだれか信じ生きていこう
矛盾で成り立つ社会から抜け出して

シャープペンシル~鉛筆の嘆き~

僕は君が生まれるずっとずっと前から
こうして人々の指に挟まれて
自分の肉片を紙々に刻んできたんだ
それなのに君って奴は
ある日ひょっこり現れて
僕の真似なんか始めた
次第に人々は君を好むようになり
僕は忘れ去られてしまった
君は僕の居場所を仕事を奪ったんだ

僕は自分の命を削りながら体を縮めながら
それでも肉片を刻み続けてきたんだ
今までどれだけの仲間がその命を
人々に捧げてきただろうか
それなのに君って奴は
自分の体を少しも傷つけずに
ただ他所からきた肉片を持っているだけ
肉片がなくなれば
また別の所から持ってきて
紙々に刻むだけなんて

僕が死んでも君は生き残るなんて

僕はたった一つの肉片と一生を共にする
それなのに君って奴は
浮気をくり返してはたくさん子供をつくり
遊びふけているなんて

僕は君に負けているのか

でも僕は君に一つだけ優越感がある
浮気のしすぎで君は
いつも人々に頭を叩かれて
怒られている
僕は決して浮気はしない
それだけが僕の誇りである

註 この原稿は当然鉛筆で書かれた

平成13年

巨木が倒れる時

ある朝目覚めてみたら
額縁の中の風景が
二本の巨木が煙を吐いていた
海の向こう自由の地で

空はくっきり青くって
煙が雲の代わり
天高く浮き上がって
少し涼しい初秋だった

平成14年

美術室へようこそ

ここにあるのは上手うまい絵ではなく
       美味うまい絵です

上から手先で器用に描いた絵ではなく
色や形などの「味」が美しい絵です
どうか気軽に見ていって下さい

単純くんと複雑さん

単純な奴とは単なる純粋なだけで
まっすぐにしか考えられなくて
Tシャツ一枚しか着てません

反対に複雑な奴とは複数に手を出し一つ一つが雑になって
ゴチャゴチャと曲がっていて
厚手のセーターを着て汗をかいています
どっちがいいでしょうかね

妥協点~夢と現実~

夢があっても現実はなかなか厳しい
夢だけに生きるのは大変で
現実だけに生きるのも寂しい

でも

夢と現実が違うなら
二つはどこかで交わるはず
そこがきっと進路なんだろう
悩んで迷って決めていく

太陽だって影と光をつくるから

いつまでも純粋でいたいけど
裏表がないとメビウスの輪みたいに
心がねじれてしまう
多少の汚さは仕方ない

たとえ「裏」の僕だって
太陽の光に当てれば
「表」の僕がきっと透けて見えるから

大いなる夢と進みたい方面でベクトルが決まる

大きさと向きによってたった一つのベクトルが決まります
漠然と夢を見るだけでなく
その夢の大きさと向きベクトルを決めなければならないのでしょう
ベクトルは進路なんのです
できるだけ大きくて希望する向きへ伸びる
自分だけのベクトルを決めたいものです
ベクトルは虹色  どの向きにも伸びていて
その先には輝く未来が待っているのです

何事にも甘さは控えめに

全てが順調な人生なんてつまらないじゃないか
苦味をしっているからこそ深味が出るんじゃない
人もコーヒーもきっとそうだろう

一度きりで何度でも

「人生は一度きりしかない」
「やり直しのきかない人生なんてない」
この二つは決して矛盾していません
一つにすると答えが見えてきます

「一度きりしかない人生の中で
何度でもやり直しができる」
終わりのある無限のチャンスなのです

世界をつなぐ二つの球体

地球がまるいのは
世界中の人々が仲良くサッカーをやるためらしい
地球もボールも大切に

ねこ座り

ねこがいる生活は
この「ねこ座り」が基本である

仰向けだと胴長に見える

ねこもごろんと仰向けで寝ます
完全に安心しきっている時だけ
この白いお腹を見せるのです
まるで人間みたいですね

ねこ手

福を招いているのではなく
「ねこ手」をしているだけにゃのだ
でもそれを見ているだけで
とっても幸せだにゃ~

令和6年

うつ病の日々

とにかくだるい やる気なし
とにかく眠い  やる気なし
倦怠感で飽和した
泥に覆われ動けない

とにかくだるい 億劫だ
とにかく眠い  億劫だ
意識が途切れ気絶した
疲労困憊動けない

腰と背中や首筋の
痛みを伴うコリとハリ
湿布を貼れど治癒はせず

欠伸をしても酸欠で
脳もまともに機能せず
なにも出来ずに時が死ぬ