短歌:Tanka

平成10年

人間は生まれた時こそ潔白で死に至るまで己を汚す

平成11年

新学年教科書の花が満開に我は蜜を吸う蝶なり
そよ風が私の体をくすぐってリーンと笑う私は風鈴
百年前トキをあやめた人の子孫必死にトキを守る有様
プロダクション政府の人がやって来て「子役のギャラは振興券で」
雨に撃たれ逃げる人々我は見て連想するはNATOの空爆
作られた風に揺らされ泣く風鈴哀愁の音は涼しくもなし
眠れぬ夜頭をかすめる悩み事暗がりの向こう光は見えぬ
黒髪の鍵が奏でるメロディーは半音高きそなたの人生
総理というあだ名をもった先生が一年で替わった総理のように
時事問題一年間をにぎわせてやがて去りゆくあなたも同じ
雷の音におびえる我が兄に弟が勝つ夏の夕立ち

平成12年

五百円玉五輪への願い込め銀から金へNIPPONのメダル
押し当てた包帯の空に日は昇り我ケガすれど法に縛られ

平成14年

十七歳のやまとうた
一途さと僕自身しか割り切れない十七歳は素直な数字

平成15年

歳月は人を変えると悟りたり告白できぬあの子の背中

18歳のやまとうた
耐えられぬ沈黙埋める愛想笑い十分承知の八方美人

さわやかなマリンブルーそんなもの幻影であるただの歯ブラシ

平成17年

ハタチのカタチ~20歳のやまとうた~
十代の轍を断ち切る音の名は自立と自律ハタチのカタチ

平成18年

ため息の煙をふかす氷点下雪路を急ぐスモーキングブルース

平成30年

33歳のやまとうた
三日月を重ね並べて得る形33歳我に光を

ストレスが私の体を蝕んだうつ病乾癬前立腺炎
我が腕に赤く腫れにし乾癬は刺青のごとく一生消えぬ

平成31年・令和元年

迎春と賀詞を書きにし元日に今年の抱負げいしゅんを誓う
年賀状返事がもらえるはずもなく私の想いはどこへ行くのか
傷をつけ葡萄酒色した私の血舌なめずりで死の味ぬぐう
何もしない何もできない座るだけ山積みされてく仕事が辛い

34歳のやまとうた
學問に戀にせわしき三四郎青春はほら始まったばかり

細長い昆布じゃないよスマートフォンこれ一台でなんでもできる

令和2年

35歳のやまとうた
幾星霜未熟の海の底潜む35歳珊瑚の息吹

令和3年

愛の技法勉強をしてはっと知る何故この感情が永遠なのかを
素描のようラフなタッチで書きつつも中身の詰まった実りの書物

令和4年

道や橋川など暮らしを造ってく土塊つちくれ・石コロ・木っ端に鉄クズ

37歳のやまとうた
解毒して病を治せさんしちそう37.0サンジュウナナテンゼロドの微熱

名前は流亜可愛いピエロ無邪気な眼楽園に咲く百合アマリリス
素顔の君もっと知りたい愛おしい辛いよ僕は恋焦がれてる

令和5年

達障害者による絶望の三首
一生涯発達障害糞キチガイ屍骸馬鹿貝飛び込む断崖
Bad Guy無能で論外苦難永い発言場違い周囲は憤慨
貧民街蛾を放し飼い安物買い成れないつがい皆無の生き甲斐

発達障害者による希望の三首
Nice Guy発達障害負けぬ気概君が生き甲斐支える互い
一生涯僕らは(つがい)二枚貝歩く地下街我が子は(かすがい)
予想外家族の(あらが)い時に苦い認める違い幸福永い

令和五年四月一日
(しん)(ねん)()(りょく)黄色に気持ち染め褪せず貫く(しん)(ねん)()(りょく)

38歳による希望の一首
38サンパチはたとえコケてもωオメガ無限  ultimateでunlimited

自己紹介の和歌
真の画家Francisco de Goya讃えプラス思考でCoyaの雅号や

搔き(むし)る瘡蓋シール垂れる(しる)痛みが走る生存を知る
感謝とは罪悪感で謝罪する居た堪れない恥の弁明

令和6年

自信とは過信慢心謙虚さを忘れた天狗の鼻をへし折れ

不吉なゾロ目の日に詠む一首
悪魔でもなお飽く迄も生き抜かん令和666

39歳のやまとうた
青春の曲も懐メロもうおっさんジュークボックス中年のブルース