罪深き人間であります。
自分は、本当に大切な人が苦しんでいるのを眼前で見ておきながら、救うことができませんでした。それどころか、自分はその人を傷つけてしまったのです。
言葉は時に、どんなナイフよりも鋭く深く、人の心を傷つけてしまいます。
自分はその言葉のナイフで、大切な人を傷つけてしまいました。たくさんのナイフで、傷つけてしまいました。
人間が生きていく上で、人を傷つけてしまうのは仕方のないことであります。しかし、傷つける人間がいれば、その傷を癒す人間もいます。自分も本当は、その人の傷を癒すつもりでした。必死に癒そうとしました。しかしそれは大きな勘違いでした。その人は、自分の行いに迷惑していたのです。自分の行いが、その人を傷つけてしまったのです。
自分は本当に愚かな人間です。
自分は、密告をしました。その人の為に密告をしたつもりでした。しかし密告が、その人を傷つけてしまいました。
密告をしていた自分の姿を、今考えれば本当に恥なものです。しかしその時には、密告だけが自分にできる最高のことだと思っていたのです。密告をしていた自分を、誇りにすら思っていたのです。自分は、本当に愚かで罪深い人間であります。
自分は許されない人間であります。
自分はここにいてはいけません。自分には、ここにいる資格がありません。
自分は、この場所を、その汚れた足で踏みにじってしまったのです。許されるはずもありません。それなのに自分は今も、この場所でのうのうと生きているのです。
今の自分は、罪悪感に打ちのめされています。当然の罰だと。重く受けとめています。どんなことを言われても、自分は耐えなければなりません。
自分は卑怯な人間です。これだけの罪を犯しておきながら、逃げようとしたのです。死んで償えばいいなどと勝手に考えて自殺をやろうとしました。
しかし、逃げてはいけないと気付いたのです。逃げずに、生きて、自分のしたことを隠さずに赤裸々に告白することこそが、償いだと考えたのです。
今自分は、生きています。生きることで、自分の罪を償っているのです。
自分はもうこれ以上何も望みません。ただ一切を受けとめて生きるのです。
今まで傷つけてしまった人へ、本当にごめんなさい。心から謝罪し、自分の罪をここに告白します。
そして自分は今日も、生きています。