倉敷・丸亀・鳴門・徳島旅行と切り紙絵制作の旅

2008年8月1日

前夜、新宿西口のバスターミナルから夜行バスに乗り、倉敷へ向けて出発した。ネオンはまだ輝いているとはいえ、ほとんどのビルのシャッターが下り、不気味な陰影の現われた街は、いつもとどこか違っていた。

バスの座席は思いの外広かった。フットレストや枕もあり、足を伸ばすこともできる。ただ、荷物がちょっと邪魔で、それが眠りを妨げていた。

うとうとと舟をこいでいた深夜3時に休憩のためにバスは一度停車した。雨が降っていた。そして体が恐ろしく眠かった。

2008年8月2日

切り紙絵の制作を開始した。当初の予定とはやや異なり、型紙を使うことにした。しかしこっちの方が効率が良い。試行錯誤しながら、物事を良い方向へ進めていく。

そしてデザインナイフの切れ味がとても良い。最も懸念していた、線の滑らかさは、全く問題にならない。思い通りの形が切り抜ける。

そして、5枚一つづりで切ることにした。あまりまとめてやっても、きっと分厚すぎてうまくいかないだろう。これが適数なのだ。早く終わらそうとして、効率性ばかりを追求して、その結果一つ一つの質が落ちてしまっては意味がない。焦らず、ゆっくり、落ち着いて、丁寧に、しかし確実にやっていけば、必ずゴールに到達できるということを、心に刻んでいこう。

現時点で50枚切り抜いた。思ったよりも早くできた。このペースで、旅行中に全部切り抜いてしまおう。

2008年8月3日

朝ホテルを出る前、小1時間ほど制作をした。短い間だったが、25枚できた。朝の方が、作業効率が良い。

お昼に、帆布のバッグを買うべきかどうか迷って、そして結局買ってしまう。大きさの割に安いからということもあった。しかし、同じようなバッグならすでに持っているというのに、そして他でもっと安いものがあるかもしれないというのにだ。旅の思い出と割り切ることができるのだろうか。ただし、もうすでに切り紙絵制作の道具入れとして機能している。

観光後、一度ホテルに戻って制作。しかし疲れで質が低下し、粗くなってしまったので、夕食と休憩をはさんで、午後9時すぎに再開。そして150枚切り抜いた。たぶん半分以上は切ったと思う。明日で倉敷を去るので、やり残したことやもののないようにしたい。

2008年8月4日

倉敷を惜しむかのようにずっと居座り続ける。町並みの風景を描いている人がいて、なんだか刺激されたけど、自分ではうまく描けない。

岡山までは意外に早く、そこから瀬戸大橋を渡って四国に上陸した。海の上の鉄を走っている間は、いよいよ乗り込むという気がしてきた。

丸亀は小さな街だ。そしてその中心に城がある。小さな天守だと思っていたが、登ってみるととても高い山の上に建っていた。街がぐるっと見渡せて、そして瀬戸内海もよく見える。この街は海のすぐ近くにあるのだ。

ホテルのインターネットをいじくって、白紙だった今後の予定を決めた。結局、直島には行かず、このまま一気に鳴門に行くことにした。鳴門からどうやって帰るかは、一応夜行バスにしようと思っているが、まだチケットが取れていない。果たして取れるのだろうか。

ネットを検索していたら、夜10時になってしまったが、そこから制作して、50枚切り抜き、200枚切り抜いた。残りは50枚くらいだから、明日の鳴門で全部切り抜き終えてしまおう。

2008年8月5日

丸亀の現代美術館はなかなかよかった。町の風景からは想像もつかないほど、前衛的であった。ただ残念なことに、企画展をやっていたために、常設の作品が減っていて、そしてコンサートをやるために常設展示も半分しか見られなかった。遠くから眺めているだけでも、良いと感じられる作品であったから、近づいたらどれだけすごいものであっただろうか。惜しいものだ。

丸亀を出発したのが午後3時30分。高松まではすんなりと来られた。しかしそこで30分ほど待ち、各駅停車にずっと乗り、無人駅で降りて電車が来るのをさらに30分待って、その間暗くなってきたので蚊に刺されて、1時間に1本しかない電車に乗って鳴門に到着して、少し迷ってやっとホテルに着いたのは午後8時であたりはすっかり暗くなっていた。鳴門は本当に渦潮があるのか疑いたくなるような街だ。

そして、切り紙絵は248枚が切り抜き終わった。鳴門の100円ショップでさらに千代紙を買い足して、一気に切り抜いた。重複しているかもしれないために切っていないものや、東京に置いてきたものもまだあるが、全部で260枚くらいになる見込み。旅の間で本体を切り抜くことはできたので、あとは残りの日数でどれだけ細部ができるかだろう。

2008年8月6日

バス停が分からなくて迷っていて、でも目当てのバスが来たのでそれに飛び乗って、そのために鳴門駅前の写真を撮ることができなかった。

バスに揺られること20分ほどで美術館に到着。なかなかおもしろかった。途中で橋を渡って渦潮を見に行った。ぐるぐると円運動をくり返し、寄せては消え、消えては寄せ、二度と同じ形にならない水の動きに、悲しみや怒りや迷いや嘆きなどの、煩悩と呼ばれるものを全て巻きこんで来たつもりだ。

美術館に戻って、閉館まで写真を撮り続けていたら、帰りのバスがなくなってしまい、仕方なくタクシーを使うことに。痛い出費。再び鳴門駅に戻ってくることになり、結果として駅前の写真を撮ることはできたわけだが。

鳴門駅で1時間に1本しかない電車を待ち、それに乗り、しょっちゅう待ち合わせのために停車して、1時間くらいかけて徳島にやってきた。徳島では宿を確保していなかったので、飛び込みで探すことになった。1軒目は満室だったが、2軒目で部屋がとれた。しかしちょっと高いのだけれど。

とにもかくにも、明日で旅も終わりである。

切り紙絵の方は、259枚切り抜いた。衿と帯はまだ改善点があるので、少し保留に。