第1冊ノート・紙片(1999年~2000年8月23日)

1999年

その水はとても苦かった。元来、ここの水道は腐ったような臭いがして不味かった。しかしそれにポスターカラーが苦味に後押しをした。アクリルの絵の具の、あの鼻をつく臭いと腐った水が混ざりあい、その水は本当に苦かった。

Coyaはその苦い水を少し口に含んで、すぐにはき出した。不味いのは知っているが、この水がこんなに不味いなんて。まるで今の自分の気持ちのようだ、Coyaは、ぬれた口をハンカチでぬぐった。このハンカチにも、ポスターカラーの青がベットリくっついてなめるだけで苦い。水道の水も、ハンカチも、Coyaの気持ちも何もかもが苦かった。

教室に戻り、ポスターカラーセットを片付けていると、Mがやって来た。

「Coya、あんたって、、テニス部辞めたのって、Fって奴にやられたからなの。」

Coyaは黙ってうなずく。

「それで次は何部に入んの。バレーとかどう。」

「Mさん、御冗談はよして下さい。この学校のバレー部は女子だけで、男子はいないでしょうが。」

「ああそうか。」

Coyaはカバンを背負い、教室を出ようとした。するとさっきのMと、その連れのCが後をつけて来た。

「Coya。あんた男でしょ。もう少し強くなんないとダメじゃん。」

「いいんですよ。僕は弱くて。」

2000年

私の五訓

一 戀うべき人の為に生きろ

二 右手に言葉と文の刃を持つ士になれ

三 心の鬱を藝術にぶつけろ

四 風体を良くしろ

五 智を恵ませ 物事を極端に考えろ

立春の言葉

春は来るが 僕はまだ本当の大人にはなれない
鮮やかな花のように 僕は純真ではない
幼年時代 僕は降り注ぐ真っ白な雪だった
少年時代 雪は少しずつ汚れて
春が来ても残雪として暗く埋っている
少年の冬から大人の春へと変わる季節に立ち竦む

やがて僕は戸惑い傷つきながら
自分自身の光で雪を解かし
桜の色で草の緑で風の香りで
綺麗な春を創り上げるだろう

無題

やめてくれよ 思い返すなよ
思い出にすがりつけば
悲しくなっちゃうじゃないか
寂しくなっちゃうじゃないか
悔しくなっちゃうじゃないか
涙が出ちゃうじゃないか

ああすればよかったのになんて
後悔はしたくないのに
思い出は後悔させる
辛く 悲しく いとおしく

ムダのダム

今日もまたムダをしてしまった
でもそれを悔やんではいけない
ムダはいいことだ ムダをしよう
ムダをたくさんして やがてムダがたまったら
ムダのダムをつくろう
ムダのダムを少しずつ必要な時
ムダを「+」の力に変えていこう

無題

バカだよ 僕は 本当に
何で気付かなかったんだろう
こんなにも近くにいたのに

僕は本当に滑稽だよ
自分で満足していたあの行いは
全てマヌケなものだったんだ

読書

本の中には数々の思いが感情が魂が
つまっている
本を読むということは
それらを全て吸収することだ
僕は本を読んでいて体中が震えてくるような
衝撃的な読書がしたい
そういった本を見つけるのも一つの才能のような気がする

イメージを壊せ

イメージを壊せ イメージを壊せ イメージを壊せ
イメージをメチャクチャに壊せ

元来僕は内気でどもりな人間だった
人の前で自分を押し殺しては
やられないように自分を守っていた

「あいつはああなんだ」そう思わせては
目立たないように目立てないように
小さく細く生きてきた

でも違う僕は生まれ変わるんだ
生まれ変わる時が来たんだ
さあ今すぐに

イメージを壊せ 自分をさらけ出せ恥なんか捨てろ
自分の思ったように生きろ

イメージを壊すんだ 滑稽な風体を変え
言葉を変えそして何より性格を変え
生まれ変われ 生まれ変わるんだ

今すぐにだ 僕が目を閉じたその瞬間に
イメージを壊せ イメージを壊せ
一人の人間を愛しその人の為に生き

そしてカッコつけるんだ

CoyaNote2000001

生きるは金ばかりかかって仕方ない
人を好きになることで藝術は完成する

音の欠落

CDをデッキに入れて
楽器を構えて
準備はできた
そっとスイッチを入れる
スピーカーから流れ出す音楽に合わせて
僕も必死に楽器を演奏する

そしてスピーカーから流れ出す音楽と
僕の演奏する音楽がピッタリ合う時
スピーカーからその音は消える
聴こえなくなる
まるでプレイヤーが休んでいるかのように
音が欠落してしまう
そして代わりに僕が
プレイヤーとして楽器を演奏する

藝術家としての僕

僕はもはやいつ死んでもいい
でも死なない
いや
死なないのではなくて
藝術の神様が 僕を死なせないのかもしれない
死なせずに藝術家としての僕に
もっと多くの作品を作れと
言っているのかもしれない
そして作品ができたところで
僕はあっさり死ぬのかもしれない
それでも構わない
藝術家としての僕は ただ作品を作れれば
それでいい

罪深き絵描き

絵を描くということは 自分の罪を告白することだ
一筆一筆思いを絵の具で表現する
ぶつかり合う思い ぶつかり合う赤と青
時にはゆずらず時には一つになり
形を成していく
僕はただ夢中で自分の罪を赤裸々に話す
真っ白な画用紙の上で罪達が産声を上げる
そして絵は完成する そこには才能などという
言葉はなく ただ自分の罪が形として表現されるのだ

無題

現実から逃げてはだめだ
過去から逃げてはだめだ

よく見ろ 見つめるんだ
自分の姿を 自分の犯した行いを
目をそらすな 戦うんだ

どんなに辛いことでも
どんなに悲しいことでも
それは決して変えることのできない

今 君は正直になるんだ
強くなるんだ
客観的になるんだ

他人と異なれ

僕は違う あんなバカな連中とは違う
僕は人を本気で好きになれる
僕は逃げずに現実と戦える
僕は藝術で自分の思いを表現できる
ただ今だけを楽しんでいい加減に生きている
バカな連中とは違う

他人と異なれ 同じなんかになるな
たとえ一人になっても自分の信じたように生きろ
そのままの自分でいろ

ブルースハープ

宝石箱のふたを開けば
そこにあるのは銀色に輝く
ブルースハープ
手にとってそっと息を吹き込む
生命を与えられた音達が
メロディーとなって飛び出す
右にいけば音達は高く
左にいけば音達は低く
そして悲しく響く

この真新しい宝石を
早くなじませたい
でもずっとこのままにしておきたい

大いに悩まされる ブルースハープ

感情の放熱

絵を描いて 自分の感情を表現する
そして感情の放熱に使用した
筆やパレットは水で洗うこと
そしてその水気をタオルなどで拭かずに
アトリエで自然乾燥させること
二度と同じもののない感情を絵の具で表現する
その表現で余った絵の具を洗わなければ
表現されずに残ってしまったやり場のない感情が暴走してしまう
きれいに水で流さなければ
そして水で洗ったら今度はアトリエで自然乾燥させる
感情を放熱させて部屋中に漂わせることで
このアトリエに新たな感情が創作意欲が
生まれてくるのだ
今日 絵を描いた僕は感情を放熱させて
次の感情を待っている

思い出のアルバム

今日 思い出のアルバムを開いて
古い傷を過去の痛みを
えぐり出してしまった
それは今でもとても痛む
でも時々こうして
思い出で自分の傷をえぐって
痛むことが必要だ
痛むことで生きていると実感できる
痛むことで後悔してしまう

思い出のアルバムの中には
何もかもが自由な僕がいた

きっと未来は明るいものと信じていた希望に満ちた僕がいた
この時の僕にほんの少しでも強さがあれば
今とは違った今があったはずなのに

そして僕は思い出のアルバムの中の僕が
何をしていたのかを考えた
僕は幼かった 幼い僕には物事を冷静に
判断する力がなかった
そんな幼い自分の後悔に今の僕ができる唯一のことは
描きかけだった絵を完成させること
幼い僕を絵の具で責めること
「どうしてお前は自分の意思を持たなかったんだ」
「どうしてお前は強さを持たなかったんだ」
「どうしてお前は自分のことを真剣に考えなかったんだ」
どうして どうして……

今の僕は思い出のアルバムの中の僕が
選んだ道によってつくられた
自分自身でつくり上げた自分を
後悔している

もしも思い出のアルバムの中の僕が
右ではなく左に選んでいたなら
あの言葉を言えたなら

そして僕は思い出のアルバムを閉じて
自分自身で考えて買ったブルースハープを取り出し
そっと『おもいでのアルバム』を吹く
その悲しい音色に
傷は沁みて沁みて
そっと涙がこぼれ落ちる
思い出のアルバムの上に

藝術

藝術は決して才能ではない
自分自身で走って描くことだ
ギターを手にとりつま弾いて
自分の心に浮かぶ思いをメロディーにのせて歌う
ブールスハープをくわえて そっと息を吹き込み
吐き出す思いを音に換えて演奏する
絵筆を持ち絵の具を画用紙に叩きつけて
自分のどうにもならない思いを表現する
ペンを握ってノートに裸のままの言葉を刻んで
自分の感性で紡ぎ合わせて詩を創る
藝術は思いを様々な方法で描くことだ

人生の劇場

舞台の上で名優達が
華やかに語る
客席からは
満場の拍手
彼らが軽やかに舞台から下りた時に
僕の仕事は始まる
次の劇の準備
審査員達の評価を集める
僕は興奮に包まれた客席の間を
冷静にぬって走る
慣れた手つきで仕事をこなし
次の劇が始まる頃には
元の席に戻る
そしてじっと彼らの言葉を聴く
舞台の上で華やかな人生を送る彼らと
その裏側で必死に生きている僕と
けっして逆転しない立場
僕が舞台の上へ
群衆の前へ出ることは許されない
僕は一生裏方として彼らを盛り立たせる
僕の犯した罪が償えるまで
僕はこうするしかない

ピアノ

ピアノは「音のタイプ・ライター」である
キーボードのように
鍵盤を軽やかに打つ
やがて打ち出された「文字」は
音となって耳の中のディスプレイに
表示される

クレヨンのナイフで

僕は確かに人を殺した
クレヨンのナイフを手に持ち
何百回と刺し続けた
色鮮やかな血が
真っ白な画用紙を染めた
僕の犯した罪の証拠として
作品が完成した

手を洗ってもまだ血が
ぬぐいとれない
まだこの手に
クレヨンのナイフで刺した
激しい感触が
衝撃が残っている

ギター

ギターはまるで 僕のことを全て知り尽くした
男のよう
ギスギスした気持ちで弾いても
決していい音は出してくれない
あまりにも荒れた弾き方でギターに当たると
男は自分の体を傷つけてそのことを
僕に教えてくれる
逆に何もかもが幸せな気持ちで弾けば
本当にいい音を出してくれる
自分の気持ちをいつまでも弾き続けられる
それがギター

音楽の誓い

僕は今日から音楽をやります
歌を創ります
楽器を弾きます
音楽について全く未熟な僕ですが
楽しみながらやっていきます
そして次のことを誓います

演奏する楽器は全て生楽器を使用すること

エレキやシンセなど電気的で不健康な楽器は嫌です。音楽とは生でやるから楽しいのです。電気によって誇大された楽器は弾きたくありません。

使用する楽器は主に、フォークギター、ブルースハープ、ピアニカ、ソプラノリコーダー、アルトリコーダー、カスタネットなどです。必要な楽器は買ったり借りたりして何とかするつもりです。いずれにせよ、生の音を大切にしたいです。

歌詞は全て日本語で書くこと

僕は日本人です。日本人でありながら、何故わざわざ英語の歌詞を書いて歌うのでしょうか。日本に生まれたからには、日本語という美しく、奥深く、素晴しい言葉を使いたいものです。片仮名もなるべく使わないようにしたいです。そして、言葉一つ一つを納得のいくまで磨いて、歌にしたいです。自分の気持ちをメロディーにのせて叫ぶ、それが歌なのです。

風体はそれほど気にしないこと

音楽というのは音の世界です。見えない世界を楽しむのに、目で見る風体など必要ありません。風体はその日の気分によって決めるくらいにしたいです。

曲は個性的に創ること

曲こそが、音楽をする上で主体となるものです。ここに個性を出さなければ、音楽をする意味がありません。他人や流行に惑わされない、自分の信じたやり方で曲を創りたいです。

何よりも楽しむこと

音楽は字のごとく、「音」を「楽」しむものです。楽しくなければ音楽ではありません。曲を創ったり、楽器を弾いたり、歌にするのが苦痛ではいけないのです。もしも音楽が苦痛になった時は、すぐにやめます。やめてまた、楽しくなった時に再開します。

何故、音楽をするのか、それはやりたいから、楽しみたいからです。歌ったり、楽器を弾いたり、曲を創ったり、そういうことをやりたい、楽しそう、だからやるのです。音楽には独特の力があります。その力を大いに使えば、楽しめば、音楽は最高の遊びになるでしょう。それこそが音楽なのです。

2000 6 24
プラス思考でCoya

ピアニカ

すっかり古びて
忘れられていた
アルバムを開くように
フタを開ける
そこにはかつて活躍した
輝かしい歴史が
静かに眠っていた
手に取りそっと息を吹き込む
懐かしい音が
むしろ新鮮だった
幼い頃の自分の
声のような
ピアニカ

無題

幻影に取りつかれてしまった
だれか僕を殺してくれ

やめろ
僕はまだ死ねない
愛する人を抱きしめるまで
僕はまだ死ねない

興奮

この興奮を
この気持ちを
どう表現すればいいのだ
今すぐ何かをやりたい
うずうずした気持ち
動かなくてはいけない
動かずにはいられない
自分がこんなにも
素晴しく思える時が
他にあるだろうか
ああ他の誰にも
これを知られたくない
自分だけの秘密にしたい
そっと一番大切なところに
隠しておきたい

無題

絵が描きたい 絵が描きたい 絵が描きたい
とても感情的な 絵が描きたい

絵を描くと

傷つけられて ボロボロの心も
怒られて ギスギスした気持ちも
鉛筆を持ち 絵を描けば
すっかり消えてしまう
そういう時の絵は
本当に自分の気持ちや心が表現できる
モデルをよく見つめれば
全てを忘れられる
どの色で彩ろうかと迷えば
明るい気持ちになれる

それが絵 それが美術
僕にとって大切なもの

今日も嫌なことがあったら僕はそれを忘れるために
絵を描く

無題

どう書けばいいか分からない
どう描けばいいか分からない
どう生きればいいか分からない

自分自身の詩

僕はどう生きるべきなのか
情けない無様な男として生きるのか
冷酷で天才的な男として生きるのか

迷う必要なんてない

どちらも選べばいい
全てを出して生きればいい
隠さずに自分の本性を
むき出しにして
ただひたすらに生きればいい

昼は情けない中学生
夜は天才的な芸術家

そう生きればいい

CoyaNote2000004

疲労がベッドに染みついていて、僕はその中へドップリとつかる。もう起き上がれない。

下等生物

奴らは単純
快なら笑い狂い
不快なら怒り狂う
自分のココチヨサだけに
動く
それは本能などと呼べるほど高性能ではない
ただ最低限のものしか備わっておらず
そこから進歩しようとしない
逆に怒ってばかりいるから
日に日に退歩していく
明日になると動物園の動物ほどに退歩し
来週には森林の中の野獣ほどに退歩し
来月にはアメーバほどの動きしかしない
下等生物に
なるだろう

要するに死ねということだ

償い

死んで償うなんてことはしない
死ぬなんてことは
それだけで罪深い行為だ
本当の償いとは
生きることだ
生きて償うのだ
ただ生きるのではない
自分が犯した罪の重さを後悔し
何度も何度も苦しみ
そしてそこから吐き出す思いを
絵を描くことで
詩を創ることで
ギターを弾くことで
芸術で表現するのだ
芸術こそが償いなのだ

音楽にて少しの妥協

今まで絶対に音楽をやる上では
機械に頼らずにいましたが
今日でその考えは変わりました
人間ではできないことも
機械を使えば簡単にできます
結局楽しむのは人間で
機械を上手に利用すれば
もっと楽しめるのではないかと
少し妥協してみます

詩を書くのに

詩を書くには
その日起きたことを
その日の気持ちを
その日だけの感情を
大急ぎでペンを持って
書かなければならない
それなのに
僕はなんて毎日をムダに過ごしているんだ
今日何もしなかったから
今日起きたことの詩は
今日の気持ちの詩は
今日だけの感情の詩は
二度と書けない
ああ なんともったいない

悩みすぎ

僕はどうでもいいことに
悩みすぎなんだ
僕は小さなことに
こだわりすぎなんだ
いや
僕にとってどうでもいいことに
悩むことも
小さなことにこだわることも
とても大切なことなんだ

無題

ああつまんない
こんなことしても
どうにもならない
ムダムダムダ
何か刺激が欲しい
興奮できる何かが

歌を創るということ

歌を創る時
先にメロディーを創って
そのメロディーに詩をのせることを
「曲先」という
この場合
メロディー1音1音に合わせて
詩をのせればいいのか
それとも
心からあふれ出す言葉を
とにかくノートいっぱいに
刻みつけて
そこから
メロディー1音1音に言葉を
紡ぎ合わせていくのがいいのか
どちらにすればいいのか
大いに悩む
前者はメロディーと詩の音数が
同じなので歌いやすい
だが合わせるためには
言葉を妥協しなければならない
切り捨てられた言葉達の居場所がない
一方後者は
とにかく自分の感情を
全て吐き出せる
妥協などせず
あるがままの言葉を歌える
だが紡ぎ合わせるのは非常に難しく
メロディーと合わないと歌いにくい
それでも僕はこのやり方で
歌を創っていきたい
歌は自分の思いをメロディーにのせて
叫ぶこと
音楽という力を持って
叫ぶこと
自分の思いを叫ぶのに
妥協をしてはダメだ
一つも残さず言葉を出し尽くして
そこから何とか紡ぎ合わせる
それも音楽の一つだ
メロディーもコードもリズムもないけど
自分の思いを言いたいことを
音数に合わせることも
音楽なんだ
自分の思いとその音数が合った時
その言葉は
どんな楽器にも出せない
美しい響きをする
言葉が演奏をするのだ
だから僕は
心の底から言葉を吐き出して
納得いくまで練り上げたい
そうして完成した歌を
メロディーにのせて
歌いたい
自分の思いを
叫びたい

無題

明日 学校になんか行きたくない
毎日をいいかげんに生きて
芸術的に考えず
一人の女性さえも満足に愛せない
そんな連中とは
顔を合わせたくない
そんなバカな連中が
僕に襲いかかってきて
僕はやられてしまう
そっとしておいてほしい
今は傷を癒すまで
時間が必要なんだ

想像するのをやめる

ほらまた
君はいつだって
いいことばかり想像する
金と名誉に染められた
まったく勝手な未来を
想像する
自分の欲望が
直接具象化された未来を
想像する
それではダメだ
そんな想像をするよりも
現実を受けとめろ
未来ではなく
目の前を見つめろ
何も考えるな
何も望むな
ただ前だけを見ろ
君の頭の中は
いつだって未来形だ
その頭を
現在進行形にして
何も抱え込まない
からっぽの頭にしろ

無題

行きたくない 行きたくない
どこにも行きたくない
僕にはこの暑さの中を走り抜ける
強さがない

こんな自分をどうにかしたい

恥ずかしいこんな自分が
こんな自分 誰にも見られたくない
なんだそのボサボサの髪は
不潔
なんだその汚い顔は
気味悪い
なんだその低い声は
恥ずかしい
いっそのことこの体を声を
潰したい
新しい自分が欲しい
こんな自分をどうにかしたい

コンタクトレンズ

目に入れると痛みを入れたような錯覚がする
レンズ越しの光景は
鮮明すぎてよくない
生活するには大切かもしれないが
絵を描く時は外したい
絵を描く時は
レンズ越しではなく
自分の目で直接
モデルを見て
色を選びたい
レンズ越しの光景は
造られた虚像だ
この目が見る
この光景だけが
本物だ

無題

現実から逃げていては何もできない
現実を見つめなければ生きられない
全ての過去を知り
全ての事実を受け止めて
そしてそこから生きていく

無題

この顔を誰かどうにかしてくれ
自分自身で変えられたら

創作の旅

お気に入りの白いカバンに
ペンとノートと
色鉛筆とスケッチブックと
ブルースハープと
あとは夢だけをつめこんで
創作の旅に出よう
いつでもどこでも心の中にふっと浮かんだ
たった一つの感情を
もっともふさわしい方法で表現する
時にはペンを持ちノートに詩として刻み
時には色鉛筆でスケッチブックに絵として描き彩り
時にはブルースハープをくわえてメロディーとして吐き出し
創作をしたい

創作できる人間は幸せなのだろうか
創作するには感情が必要だが
感情があふれ出すのはいいことなのだろうか

創作する人間にしか恋はできない
創作する時の感情を
愛という形にして表現する
それも一つの創作

僕は創作をしたい
僕は恋愛をしたい
僕は僕として生きたい

第1冊ノートを終えて

今日でこのノートは終わった
最初は文学ノートとして文学作品を読み
その感想などを記していた
しかしその研究的なやり方が嫌になった
読書は心の中に衝撃を走らせてするもの
まるで遺伝子操作のように切り出して
解剖したくない 文学は勉強ではないのだ
そうしてこのノートは次第に自分の感情を
たたきつけるノートになった
それは詩のようなものであったが
自分の胸の内から出てくる言葉を
そのまま記すだけ 直感でダメだと分かると
すぐに消して書き直した
そうして創った詩だから
決して推敲をしない
読み返してその時の感情を直さない
文学的には未熟な詩かもしれないが
僕にとっては二度とない感情を残すことができた
大切なものである
これからも詩を創っていきたい

2000 8 23 プラス思考でCoya


紙片

1999年

僕が居る場所

僕が居る場所では
幸せは悲しくてこれでいいのだろうか
貧しさは苦しくて早く抜け出したい
自由は退屈で何もできなくて
多忙は疲れて眠たくて
そんな場所に僕は居る

僕が居る場所では
過去は悲しくて変える事ができない
現在は苦しくて早く抜け出したい
未来は退屈で何もできなくて
そんな場所に僕は居る

幸せは悲しくて 貧しさは苦しくて
自由は退屈で 多忙は疲れて眠たくて

過去は悲しくて 現在は苦しくて
未来は退屈で

そして僕はこの場所に居て

悲劇の鳥

それはこの世に生まれてしまった命
親鳥と血の繋がってしまった命
どんなに抵抗したって
この繋がりを絶つ事は
神にすら出来ない

雛は親鳥に刷り込まれ
親だと思わされている
小さな羽根をがっしりとつかまれ親鳥に全てを決められる
不自由できつい籠
もがく事もあがく事も出来ない
ただ親鳥から与えられる餌に
口を動かすだけの雛

何も言えずに体だけ成長して
いつの間にか自分で餌をとれなくなっていた

見せかけの翼と見栄ばかりの巣の中で
苦しみ叫ぶ声も届かない

そして雛は親鳥のはばたく空を
少しもずれる事なく飛ばなければならない
親鳥の見ていない止まり木に不良鳥が食いつまむ
ピーチチ ピーチチ鳴くけれど
誰も助けてはくれず心も翼も傷だらけ

嫌われ鳥に親鳥は見向きもせず
くだらない事に首を突っ込む

殴られて蹴られて馬鹿にされ苛められ
親鳥には無視されてあげくの果てに集団リンチ

弱い力の雛の頬を今日も厳しい刃が襲う
逃げられない避けられない死ぬ事も出来ず生き地獄

明日なんか来なければいいんだ

運命を乗り越えろ 乗り越えろ今すぐ
親鳥を蹴飛ばして巣を飛び出して
あの空に何かがあるはずもない

悲劇の鳥 二

雛はやがて子鳥に
子鳥はまだ未熟の羽根をもぎ取られ
無理矢理に親鳥色の翼に染められる
必死にもがく羽ばたきは
自分の体を傷めるだけ

しかしついに子鳥は親鳥の繰り返しの一つを
やめた
死を覚悟で――――――――――――
しかし親鳥は何も言わず
むしろそれが悲しかった

そして子鳥は 楽しかった過去の思い出に縋り付くが
その羽ばたき方を忘れてしまい
もう満足に飛べない

まだまだ続くのか親鳥の繰り返し
鉄の翼に植えかえられ
海を越えろと尻を叩く
嫌がれど子鳥の羽根は鋼鉄鳥
楽をすれば体に食い込む
痛々しい
それでも子鳥はその翼を自ら抜いた
ガッチリと植え込まれた
翼を食いちぎり――――――――――
羽根をもいだ子鳥の体は真っ赤な血
悲色の赤で鮮やかに染まった
親鳥は激怒し嘴で噛みつく
しかし子鳥は
沈黙―――――――――――――――
鳴かない事が子鳥のただ一つの自由
自由なのか
いつだって子鳥に自由などない

相変わらず親鳥はくだらない事に
首を突っ込んで
巣を崩し始めてる

卵ばかりを温めて
子鳥には目もくれない
いっその事ならば
銃に撃たれ
川に落ちたい
何にも流されず自分自身の力で進みたい
だが川に飛び込むこともできなくて

2000年

悲劇の鳥 三

子鳥は後悔している
子鳥は後悔している

親鳥からの押しつけからの
呪縛から解放された子鳥は
初めて自由を手にした
そして出会いがあった
子鳥は恋をした
自分自身で好きになった
若くて美しく純粋な鳥に
いつしか子鳥は心を奪われていた

子鳥は幸せであった
自由であったこと
そして好きな鳥と一緒に
すぐ近くの空を羽ばたけたこと
たとえ不器用でも
たとえ滑稽でも
子鳥は美しい鳥がいるだけで
よかった 他には何一つ望まなかった
子鳥は今までの過去を
悲劇すぎた日々を忘れられた
それぐらいに幸せであった

子鳥は美しい鳥にもっと近づこうと
もっと一緒にいたいと願った
そして初めて自分自身で決断をした
自分自身で美しい鳥に近づいた
子鳥は美しい鳥に近づけた
そしてすぐに美しい翼を与えられた
子鳥は本当に幸せであった
この幸せがいつまでも続けば
よかった
そのままでよかった

だがそんなささやかすぎる幸せを
子鳥を
再び押しつけが破壊した
子鳥は大空を無理矢理に
飛ばされた 力なくして飛ばされた
だが子鳥はそれが苦しくなかった
その空にも美しい鳥がついてきてくれた
鳥と一緒に飛べることが嬉しくて
押しつけなど気にならずに
その空でも幸せであった

美しい鳥は苦しんでいた 多くのゴロ付き不良鳥に
攻められて 羽根は傷つき
悲しみに打たれていた
子鳥は心が痛んだ 自分だけが美しい鳥の
気持ちを分かることができた
子鳥は自分の羽根をむしって
美しい鳥の傷をいやした
自分の体を犠牲にして
美しい鳥を救った
それは決して苦痛ではなかった
むしろ鳥の為になれたことが
本当に幸せであった

だがそんな幸せを壊すように
ゴロ付き不良鳥は美しい鳥に食いついた
子鳥は必死に助けた
だが子鳥には美しい鳥を救う術を知らず
逆に美しい鳥を傷つけてしまった
愛するはずが傷つけてしまった

そして雪の降った冬
美しい鳥はついに倒れた
美しい鳥は子鳥のもとを離れて
今もなお苦しんでいる
悩んでいる
子鳥が傷つけてしまった
子鳥はどうすることもできずに
ただ傷つけてしまったことの罪悪感に
打ちのめされながら
今日も生きている
美しい鳥のいない空を
たった一人で飛んでいる

眠れない夜

時々あるんだ 眠れない夜が
目を閉じていくら心を落ち着かせようとしても
ちっとも眠れない
頭を悩み事が掠めて 歌い出す

眠ることは生きるのを少しの間全て中断して
夢へ遊びにいくこと
だけど今夜は生きるのが激しすぎて
夢へ遊びにいけない
誰かに眠らせてほしい

あるいは眠れないのではなくて
神が僕を眠らせないのかもしれない
僕を夢へ遊びにいかせないで
生きろと言っているのかもしれない
そんなことを考えている
眠れない夜

罪悪感

僕はここに居てはいけない
僕にはここに居る資格がない
僕は自らの汚れた足で
この神聖なる場所を踏みにじってしまった
一つの愛を守るつもりが
その愛を壊してしまった
僕は何もしてはいけない
僕は死ななければならない
今までの罪を償って
全てを受け止めて
自分の人生に終止符を打たなければならない
僕の両手首には見えない手錠が
ガッチリとはめられている
今自分自身に判決をそして刑を
下さなければならない
僕は大きな罪を犯した
言葉の鋭いナイフで
一人の女性を刺してしまった
愛する女性を刺してしまった
目の前の欲望にとらわれて
大切な人を失ってしまった
その罪は深く許しがたい
どんなに悔やんでも
もう取り戻せない過去
僕は本当に愚かだ
自分の欲望のままに動き
人を傷つけたことも知らずに
それを誇りと勘違いしてしまった
最悪の人間だ
僕がこれ以上動くことは許されない
ただ深く深く謝罪をし
何も望まず
ただ与えられた現実に
自分の姿を消すだけだ
それが僕の償い

罪深き者

おお罪深き者よ 君は何ということをしたんだ
一人の女性を悲しませてしまったのだ
その罪は重く許し難い
よって君に下された判決は
死刑
これ以外に君が罪を償う方法はないのだ

おお罪深き者よ 君はその汚れた手で
      鋭いナイフを持ち
一人の女性を刺してしまったのだ
君はそのまま逃げ去り 事件は発覚した
犯人は見つからないまま 時効を迎えそうだった
だが君はその罪の重さに耐えられず
ついには自首した
そして今日 君は処刑台に上る
今朝の気分はどうだ
君の人生で最後の食事となる
その一片のパン
そのパンをかみしめて君は
自分の犯した罪を今更になって悔やむんだ
もう遅い
ほんの少しの欲望と心のすれ違いが
悲劇を生んだ
君は本当に愚か者だ

おお罪深き者よ 君はとうとう部屋を出た
  これから処刑台へと向かう
暗くひっそりとした部屋
君は思わず立ち竦む
だが止まることは許されず
君はゆっくりと歩きだす
そして天からぶら下げられた
縄にその罪深き首をくくりつけ
今君は死んだ 自分を悔やみながら
君は死んだ

おお罪深き者よ 君が悲しませた女性が
 これからどうなるか分からないまま
君は死んでしまったのだ
女性は君のことをどう思っているのか
一人の大切な女性を悲しませたまま
君はその罪深き人生に幕を下ろした

今君に必要なのは
悩むことだ
迷うことだ
悩んで悩んで
迷って迷って
焦って涙を流すことだ
たとえ損をしてもいいだろう
今が悪くてもいいだろう
今よりも過去にこだわるべきだ
形なんかに惑わされずに
余計なものなんか見ないで
自分の信じたたった一つだけの為に
全力を尽くすんだ
要は何が残るかではなくて
君が何をしたかだ
行動こそが君の生きた証明だ
今君は動くんだ
どれだけ傷ついても動くんだ
悩みを迷いを焦りを涙を力に換えて
動くんだ

今日 雨の中を歩いた
君に逢えそうな気がしたから
躰をびしょ濡れにして
こみ上げてくる感情を抑えた

この雨が止めば
君に逢えるのかな
泣いて泣いて泣いたら
笑ってくれるのかな

雨が素敵ねと君が言ったから
僕は雨が好きになった
雨は君を
とても美しくした

この雨と一緒に
君は消えてしまうのかな
悲しみにこらえても
ダメになっちゃうのかな

時間

僕はもう動けない
僕の周りで時間は
あまりにも無意味に過ぎる
その速いこと速いこと

時間というものは
平等ではない
時計が刻む一秒一秒は
形だけの平等さであり
苦しい一分間はとても長く
幸せな一時間はとても短い

人の心の中にも時計がある
その時計は感情の変化と共に
不安定に動く
心の時計で人は生きている

僕の心の中の時計は
壊れてしまった
心の中の本当の時計がない僕は
形だけの残酷で平等な
時間の流れの中で生きるしかない
もはや僕は自分だけで生きられない

壊れてしまった僕の心の中の時計を
直すことはできないか
直すためには
奪われた時間を取り戻すこと
感情のままに生きること
自分の罪を償うこと
僕に時計を与えてくれる
その人が現れるのを
ただひたすら待つこと

形だけの時間と心の中の時計の
二つの時間の中で
僕は生きることができるのだろうか

夏に負ける

汗をかきながら僕は泣いている
汗と涙が一緒になって
塩辛い気持ちが
頬を流れる

この暑さの中で僕は
完全に自分を見失っている
頭は錯乱し
体は動けなくなり
僕は自分の気持ちを
一粒一粒に溶かし込む

蝉の鳴き声は
僕の悪い噂話をしている
どんなに耳をふさいでも
聞こえてしまう
太陽は僕のことを見逃してくれない
どこまでも追いかけてくる
「お前は何故ここにいるんだ」
太陽は僕を責める
水さえも僕を守ってくれない
どっぷり深く沈み込むと
底の方から声がしてくる
「お前はここにいてはいけない」

この時の中で僕の居場所はない
時に責められ
体が動かない僕は
今日もまた
塩辛い気持ちを
流すしかない

謝罪

もう二度とあんなことはしません
ここに誓います
どうか僕を許して下さい
いや 僕は許されなくても構いません
だからどうか僕が傷つけてしまった
あの人を救って下さい
あの人が幸せならば
僕はどうなっても構いません

僕はあの人を救っているつもりでした
でもそれはあの人を傷つけてしまったのです

この謝罪であの人が救われることを
祈っています
どうかあの人を救って下さい

ズタボロの詩

何でも出来る 俺は天才だなんて
自信は大きければ大きいほど
地震が起きれば簡単に崩れ落ち
自身を深く傷つける

こんなことをした 俺はすごいだなんて
誇りは埃まみれ

夏の恋

蝉はいつから鳴いているのでしょうか
ふっと気付いた時にはもう鳴いていました

そんなふうに僕は
ふっと気付いた時にはもう
君のことが好きになっていました

美しくそれでいて哀しいその声に
僕は惚れてしまいました

それは長い間ずっと待ち続けた恋でした
それは長い間ずっと耐え続けた恋でした
決して華やぐことも輝くこともなく
ただ暗く寂しい場所で
生きていました

そして今年の夏
やっと光を与えられて
精一杯きらめきました
それはとても短く
儚い恋でした
哀しい恋でした
でも淡ければ淡いほど
本当に美しい恋でした

君はもういないけれど
君が残してくれた大切なものは
決して忘れないよ
さよなら 夏の恋

CoyaNote2000005

雨音はまるでスネアドラムのように
テンポの速いビートを打ちつける
そして雷鳴はさながらバスドラムのように
不規則にうねりを上げる
自然の気紛れなリズムに
心を洗われる

CoyaNote2000006

雨粒はマシンガンのように無数に
乱射され
見事に僕の背中を撃ちぬいた

CoyaNote2000007

夕立ちがひどくなってきた
強い風と強い雨が
足並みをそろえて伴走する
この時だけの不思議な情景ができる
雨が風に乗って吹く
風が雨に抱きつき降る
雨がうねりをあげて駆け抜ける
風が音をたてて絶え間なく注ぐ
そんなランナーがゴールテープを切るかのように
雷が鳴り出した

CoyaNote2000008

夜中にそっと木を見てみる
昼間はとても小さく思えていたあの木が
今夜は何だかとても大きく見える
昼間の木は仮の姿で
夜中に人々が寝静まった頃
その本当の姿を
月だけに見せているのかもしれない